サイン

September 5, 2007

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扉をあけると3匹の子猫がじゃれあいながら部屋を駆け回っていた。

お父さん譲りの黒×白柄の子猫が1匹と、お母さん譲りのグレー×白柄の子猫が2匹。ムジカはお母さん似だ。2匹は本当によく似ていて一見しただけではほとんど区別がつかないが、少し困った顔でこちらを見つめている子猫がムジカだと、すぐに気がついた。


ムジカという名前は、貰うことになってから1週間ほどで決めた。飼ったばかりのインコに「ミント」と名付けて、満足げに笑う9歳のわたしがふわっと蘇る。この日を境にして、子猫は「ムジカ」になるのだ。名前をつけるとさらに愛おしさは増し、「ムジカムジカ」と写真に写るかわいい瞳に何度も心の中で呼びかけた。


幾度となく写真を見ているうちに、ある日ふとムジカの愛すべき特徴に気がついた。とてもわかりやすいのに、なぜもっと早く気づかなかったのだろう。ムジカの額には、「M」の文字がくっきりと柄になって描かれていた。「MUSICA」の「M」。他の人にとっては取るに足らないような些細な偶然でも、わたしにとっては心の雲をはらう大きな必然。それはまるでわたしへの小さなサインのように、写真の中でチカッチカッとあたたかく瞬いた。


目の前で無邪気に遊んでいるムジカの額にも、確かにそれが存在していた。わたしの心にチカッと灯がともる。引き寄せられるように、でも恐る恐る、目の前のムジカに触れてみる。小さなぬくもりが、胸いっぱいに広がった。


【今日のMUSICA】
The Slip When Cloudy Hushes Moon

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